「自分はちゃんと分かってる」と思っていた旧NISA初期の頃
NISA(少額投資非課税制度)が始まった頃、「日本人は金融リテラシーが低い」とよく言われていました。
でもその当時の私は、「いや、自分はそんなことない」と思っていました。ニュースや経済の情報にも関心があったし、貯金の大切さも理解しているつもりでした。
しかし、結婚して子どもが生まれ、家庭の生活にお金が直結するようになったとき、本当に必要なのは**知識よりも「選択の土台」**であることに気づきました。
義母の保険観に戸惑った──でも、言えなかった本音
出産後、妻が加入していた保険から給付金が支払われたことがありました。そのことをきっかけに、義母が「保険の担当の方が家に行くから」と言っていたのです。
もちろん、自営業の義母は心配してくれていたのだと思います。直接「保険に入って」と言われたわけではありません。
でも、わざわざ我が家に来るというし、どこか私は身構えてしまいました。
なぜなら、義母には義母なりの「保険は当たり前」という価値観があり、それに触れにくさを感じてしまったからです。妻も「保険はお守りだから」と自然に言っていましたが、私はその言葉の曖昧さに不安を感じました。
投資は「ギャンブル」ではない──仕組みを知れば違って見える
投資の話になると、いまだに「怖い」「損する」「ギャンブルみたい」と反応されることがあります。
でも、それは“仕組みを知らない”ことによる反応だと、私は思っています。
例えば、私が利用しているNISAやインデックス投資、iDeCoなどは、短期的に利益を狙うものではなく、時間をかけて資産を育てていく仕組みです。
毎月決まった額を積み立て、長期的に市場の成長に乗る。それは、思いつきのギャンブルとはまったく違います。
むしろ、「何もしないまま老後を迎えるリスク」の方が、ずっと大きいと感じています。
親世代との“金銭感覚のズレ”に気づく
思い返すと、私の祖母も、ある保険に長年加入していました。貯蓄型のものでしたが、家族は誰も中身を知らず、正直、家族はみんな、苦笑い。
「また?」「よく分かんないけど、まあ本人がいいなら…」と。
両親も、「保険はよく分からない」と正直に言っています。
それが悪いというわけではありません。昔は、情報も少なく、誰かを信じてお金を預けるしかなかった時代です。
でも今は、知ろうと思えば学べる時代です。
金融教育のスタートは「家庭の会話」から
私自身、親世代が「保険はとにかく入っておくもの」という感覚を持っていたことから、子どもの頃には疑問を持つこともありませんでした。
でも実際に家庭を持ち、家計を見直したとき、固定費の大きさが、将来の選択肢を狭めてしまうことにも気づきました。「どうしてこの保険を選んだのか?」を説明できなければならない。
「なんでこれを買ったのか?」
「どうして今は保険に入っていないのか?」
「NISAって何?なんでやってるの?」
こうした何気ないやりとりが、子どもたちの将来の“お金との向き合い方”を決める土台になると私は思います。
おわりに──「分からない」をそのままにしないこと
私は今でも、金融に関して完璧だとは思っていません。
でも、「何も考えずに人任せにしない」ことを意識するようになってから、少しずつ自信が持てるようになってきました。
子どもたちには、損をしないことだけでなく、「選べること」「考えられること」の大切さを伝えたい。
そして何より、「親が“お金のことを学び続けている姿”」を見せることが、何よりの教育なのかもしれません。