なぜ、この物件は「安い」のか?
SUUMOを眺めていると、「え?この立地でこの価格?」と思わず二度見してしまう中古戸建てに出会うことがあります。
駅から近く、周辺環境も悪くなさそう。
間取りも一般的で、写真を見る限り大きな欠点は見当たらない。
それでも――
相場より明らかに安い。
こうした物件を前にすると、
- 掘り出し物なのでは?
- 決断が遅れると逃してしまうのでは?
- 自分が疑いすぎているだけでは?
そんな気持ちが湧いてくるのも自然だと思います。
「安い中古戸建てには、必ず理由がある」
この言葉は半分正しく、半分は誤解を生みやすい表現だと感じています。
※耐用年数に着目した築古戸建ての買い方については、このブログで繰り返し主張しています。

今回は、「安い中古戸建て」に出会ったとき、最低限ここだけは確認してほしい3つのポイントを、
ケーススタディ形式で整理してみます。
ポイント①|接道状況と「将来の建て替え」
まず最初に見るべきなのが、接道状況です。
- 公道か私道か
- 道路幅は何メートルか
- 建築基準法上の接道義務を満たしているか
一見すると「家の前に道がある」ように見えても、
- 私道で幅が狭い
- 持分が限定的
- 建て替え時に条件が付く
といったケースは珍しくありません。
特に注意したいのが、
今は住めるが、将来の建て替えに制約がかかる可能性
この点は、重要事項説明で必ず説明される事項ですが、契約直前になって初めて意識すると判断が鈍ります。
ポイント②|「今の暮らし」だけで判断しない
例えば、
- 今は駐車場が不要
- 一人暮らし(あるいは夫婦のみ)
- 当面リフォーム予定もない
こうした条件が揃うと、「自分には問題ない物件だ」と思えてしまいます。
ただし、住宅は「住んでいる間」だけでなく「手放す時」まで含めて考える資産です。
- 売却時に駐車場が作れない
- 建て替えが難しい
- 買い手が限定される
こうした条件は、将来のリセールバリューに影響します。
万人受けはしない。
けれど、条件を理解した人にとっては価値がある――
そんな物件も確かに存在します。
大切なのは、「制約があるかどうか」ではなく、「その制約を理解した上で選んでいるか」だと思います。
ポイント③|再建築不可・制約物件という考え方
「再建築不可」「再建築に制約あり」という言葉は、少し怖く聞こえるかもしれません。
ただ、すべてが「絶対に避けるべき物件」というわけではありません。
- 長期間住む前提
- 価格に十分反映されている
- 制約内容を理解している
こうした条件が揃えば、合理的な選択になるケースもあります。
ただしその判断は、感覚ではなく知識が必要です。
ネット情報だけでなく、専門書を一冊通読するだけでも、見える景色は大きく変わります。
不動産業者との関係は「信頼」か「距離感」か
よく、信頼できる業者に任せれば安心と言われます。
私は、こう考えています。
不動産業者は「ウソをつく存在」ではありません。
ただし、立場が違う存在です。
だからこそ、
- 分からない点は質問する
- 曖昧な説明は確認する
- 納得できるまで立ち止まる
この姿勢が、結果的に誠実な取引につながるのだと思います。
勉強することは、業者を疑うためではなく、対等に話すための準備です。
また、こちらの質問に丁寧に答えてくれるのが、良い担当者とも言えると思います。
まとめ|「安いから買う」ではなく、「理解して選ぶ」
安い中古戸建ては、確かに魅力的です。
そして中には、条件を理解した人にとって「良い選択」になる物件もあります。
ただ、
- なぜ安いのか
- 何が制約なのか
- 将来どうなる可能性があるのか
これらを整理しないまま飛びつくと、後悔につながりやすいのも事実です。
このブログは、不動産を網羅的に解説する場所ではありません。
だからこそ、体験+考え方の整理を通じて、「考える材料」を提供できればと思っています。
ネット情報とあわせて、専門書籍の通読もぜひおすすめします。

